それは、先週の水曜か木曜のことだったと思います。
朝、私は学校に到着した後、教室にカバンを置いて、日課である大便をするためトイレにこもりました。
なかなか出ない大便を出そうと気張っていると、トイレへと向かってくる2つの声が聞こえてきました。
1つはさすがさんです。いつものテンションで何やら話しています。そしてもう一方はギル様。笑い声でわかります。
遠くから徐に近づいてくる声に耳を澄ますと、「500円」という言葉が飛び込んできました。ああ、と私はすぐに合点が行きました。
始業式の日、私はさすがさんに借りていた500円を返したのです。
春休み中に借りた500円だったので、本人も忘れかけていたと思うのですが、その日の終礼後に私は彼の目の前に突然現れ、無言で500円を差し出しました。
すぐに踵を返した私の背後で、「ああ、そういえば借りてたなぁ〜」というさすがさんの声を感じたのを覚えています。
その話を、さすがさんはギル様にしてるんだ。
すると、彼の口から、「1500円で返さんかい」というような言葉が聞こえてきました。それに対して、ギル様は笑いながら、「ヤンキーやん」というようなツッコミを軽くしていたような気がします。
500円を3倍で返せという冗談で笑いを取るさすがさんと、高い声で笑うギル様。2人の「いつもの」やり取りを、私はトイレの個室という気付かれぬ空間で、人知れず聞いていたのです。
この時点で私は、あとで教室に戻ったうえで、さすがさんに「あと1000円返そっか?」というような嫌味を吐こうと、密かに思っていたのです。その光景を想像し、私はズボンを下ろした状態でにんまりと笑いました。
ですが、その次の言葉に、私はぎくりとしたのです。
動揺していたので細かい言い回しはあまり覚えていませんが、「しかも、感謝の言葉ひとつもなしに、黙って500円出してきて」…そんなことを言っていたような気がします。
私は、聞いてしまったのです…。
やがて2つの声は去りました。私はトイレに1人残されました。
私は、「あと1000円返そっか?」と嫌味を吐く計画の中断を、ひっそりと決断しました。事態はそれほど簡単なものではないのです。
教室に戻った後、さすがさんが駆け寄ってきて、言いました。
「もしかして、さっき、トイレおった?」
「えっ、なんのこと?トイレ?」
私は、嫌味を吐くことができず、肯定をすることもできず、そう惚けてしまいました。事態はそれほど簡単なものではないのです。
「あれっ?ん?そう?」
「なに?」
「いやっ、なんでもない…」
私がなおも惚け続けると、彼は溜飲の下がらぬ思いを抱えた様子で、また別の場所へ駆け出していきました。
その日1日、私はさすがさんの姿を正視することができませんでした。
この間教室で見た、「このプリンうめえー!!うめえー!!」と言ってプリンに喰らい付く、さすがさんのシュールかつユーモアな様子も、何かいつもと違って見えました。
そしてそれ以来、私は彼と目を合わせていません。
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溺愛 at 01:50|
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日記